■ Mail Magazine Ｒａｄｉｃａ 1999年 3月 5日(金) 第288号 □□■
■ Contents
□ ＲＡＤＩＣＡ ＥＸＰＲＥＳＳ 「最新インターネット情報」
半導体工場を二つも建設！ 新プレイステーションのために1200億円！
悪人とどうつきあうか、米国の場合
□ 日常の、私へのことば
□ おじさんの日常
□ めたまんの編集メモ
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■ ＲＡＤＩＣＡ ＥＸＰＲＥＳＳ 「最新インターネット情報」
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● 半導体工場を二つも建設！ 新プレイステーションのために1200億円！
来年早々に発売とされているゲームマシン、新プレイステーション周辺の話が
ものすごいことになっている。
４日、プレイステーション向けに開発されたCPUを製造する半導体工場を、なん
と二つも建設する話が発表された。
一つは、半導体製造の世界的大手、東芝とソニーの合弁で建設される大分工場。
これはプレイステーションの中心、「Emotin Engine」というCPUを作るための工
場だ。製造ラインには、0.18ミクロンという最先端の半導体製造技術が導入され
る。
もう一つは、ソニー長崎の工場内に建設される、グラフィックチップ「グラフィッ
ク・シンセサイザ」製造ラインだ。こちらも、2560ビットというとんでもない幅
の内部バスを実現するため、DRAM混載という技術が取り入れられたチップを作る
ための、やはり最先端の工場だ。
二つの工場に投入される資金は、総額1200億円という途方もないものだ。一つ
の製品を製造するために、これだけの資金が非常に短期間に使われることは珍し
いだろう。
当然、この資金は十分回収できると踏んでのことだ。1998年度第３四半期、ソ
ニーグループのゲーム関連の売上高は3139億円に上る。営業利益を見ても、784億
円あまりという数字だ。この数字を援用すれば、約４ヶ月半の利益をつぎ込めば
二つの工場が出来上がってしまうことになる。ゲームマシンビジネスはこんなに
ビッグな世界なのだ。
現在、ソニーグループから人材が集められ、この工場を実現するために動いて
いる。プレイステーションシフトとでもいうべき状態だ。
この二つの最先端半導体工場が出来上がったあとに、ソニーグループや東芝に
もたらされるメリットは、ゲームマシンを作るためだけにとどまらない、非常に
大きなものになる。
まず、最先端の製造ラインが短期間に完成するということだ。プレイステーシ
ョンの製造が落ち着いてくれば、別のチップを作るためにこのラインを使える。
しかも、巨額の初期投資はプレイステーション向け製造によって回収できる。
また、ここで開発されたチップは、ほかにも搭載されて、今までにない製品が
出てくることが予想される。誰でも思いつくのは、テレビやビデオへの応用だろ
う。画像処理用のプロセッサーとして、様々な製品に搭載されるのは想像に難く
ない。
パソコン分野にもこのチップが使われることがあるかもしれない。このCPU、
Intelが先頃販売をはじめたばかりのPentium IIIと互角の性能を持っている。し
かも、マルチメディア分野で性能を発揮するように設計されているので、今まで
の Windowsマシンとは一線を画した、パソコンが誕生することになるかもしれな
い。
その昔、当時の最先端技術で製造したトランジスタを使った、ポケットに入る
ラジオを売りまくってソニーは大きくなった。
画期的な半導体を使って画期的な製品を作る伝統は、今もソニーに生きている
ようだ。
○ ソニーと東芝、次世代プレイステーション用半導体に1,200億円投資
http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/990304/ps2.htm
○ 1998年度連結および単独業績のご通知---【ビジネス別の概況】
http://www.sony.co.jp/soj/CorporateInfo/FR/1999-01-27.j/FR-98-3Q-2.html#game
○ LSIの製造計画を変えた，次世代プレイステーションの巨大な影響力
http://ne.nikkeibp.co.jp/edaonline/eachnews/99mar/990304sony2.html
□□ [紅屋鉄之助 tetsu@ninjin.net]
● 悪人とどうつきあうか、米国の場合
「インターネットの急速な普及が、犯罪の姿を大きく変えている」。この言葉
で始まる、asahi.com 電網最前線のコラム「ネットが変える犯罪 米国からの報
告」がおもしろい。インターネット先進国のネットワーク犯罪の現状をレポート
しているコーナーだ。３回連載のうち、２回分が公開されている。
１回目は、米国本場のおとり捜査について書いてある。警察が自発的に被害者
なき疑似事件を演出、びしばし取り締まる姿が報告され、「電子おとり捜査の手
法には批判もある」とまとめる。
２回目では、以前RADICAでも取り上げた反中絶派のWeb「ニュールンベルクファ
イル」について、中絶容認派からの視点で取り上げている。コラムでは「犯罪を
誘いかねない個人情報を掲示する「自由」はあるのか」と疑問を投げかける。
はっきり言って、この２例は米国でも極端な事例。その事例を見る限り、米国
インターネットシーンでは、社会から逸脱した者は排除されるのが常識らしい。
公共の利益を守るために、おとり捜査まで行って悪人や悪人予備軍の人権が制限
される。それが当たり前なのだ。
日本では、このような事件はまだ起こっていないし、ここまで派手なおとり捜
査は認められてはいない。しかし近い将来、日本でも米国と同じような問題を持
つに違いない。そのときに、この米国流のやり方を真似をするかもしれない。
４日、警察庁はインターネット上の違法・有害な情報を把握して、未然に犯罪
を防止するための、「サイバーパトロール」を指示する通達を、都道府県警に出
した。これから犯罪的な行為だけでなく、犯罪につながりそうな行為も警察が見
張るようになる。
今後、日本社会はネットを駆使する悪人とどう付き合えばいいのだろうか？米
国社会のように、セキュリティレベルを高くしたシステムにするのも一つのアイ
デアだ。しかし、セキュリティが高いシステムは反面とても不便なもの。日本は
そんな窮屈な社会システムでいいのだろうか？
○ asahi.com：ネットが変える犯罪 米国からの報告（上）電子おとり捜査
http://www.asahi.com/paper/media/misc99/misc990304.html
○ asahi.com：ネットが変える犯罪 米国からの報告（中）人狙うホーム
ページ
http://www.asahi.com/paper/media/misc99/misc990305.html
○ メディアワークス：WATCHMEN日本語版
http://www.mediaworks.co.jp/dengeki_c/books/items/309690.html
□□ [Hosaka the G33kSt@r hosaka@sco.bekkoame.ne.jp]
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> ○○ Radica新連載企画「ニセ首相に聞く」への質問を募集致します ○○ <
『ニセ首相官邸ホームページ』公開中のニセ首相が
当Radica誌面上にて読者からの質問に答えます。
国民の皆様の日々の疑問を解決するため、
不肖ワタクシ炎の牛となって誠心誠意お答えします
（ニセ首相談）
●質問はお気軽にＥメールにて s-muraka@t3.rim.or.jp まで
「Radicaニセ首相質問係宛て」と明記した上でお寄せ下さい。匿名も可。
http://www.t3.rim.or.jp/~s-muraka/kantei/pkantei.html
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■ 日常の、私へのことば 宮入 恭平
"教育とは、教えられたことをすべて忘れ去ったときに残るもの"
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僕の部屋はいつも、静寂に包まれている。CDラックにはたくさんのCDが、聴か
れないままに置かれている。以前は常に音楽が流れていたが、最近はあまり音楽
を聴かなくなってしまった。特別な理由はないのだが、それほど聴きたいと思う
音楽もなく、かと言って、テレビもそれほど面白くない。結局BGMがないという環
境で、最近は過ごしていた。
自分で買っておきながら、どんなCDがあるのかさえも、記憶が鮮明でなくなっ
てしまった。「たまには何か聴いてみよう」と、数あるCDの中から、僕が高校生
の頃に胸ときめかせて聴いていたアルバムを選んだ。「ボス」と呼ばれているア
メリカン・ロックの大御所。日本のメジャー・ミュージシャンの多くも、彼の影
響を少なからず受けているはず。最近はあまりにもストレートすぎる彼の音楽に、
聴きたいという気持ちさえ起きなかったのだが、やはり良いものは良い。久しぶ
りに聴く彼の音楽に、今さらながら胸ときめかえしまった。何枚かのCDを聴き、
それだけでは飽きたらず、結局ビデオも観てしまった。
挙げ句の果てには、彼に関するWeb Pageまで見てしまった。ここ数年、僕は彼
の音楽から離れていたので、現在彼がどのような活動をしているのか、果たして
活動しているのかどうかさえも分からない有様だった。いくつかのページを見て、
彼がまだ活動していることが分かり、ほっと一安心。それに加えて、つい最近４
枚組のCD（ベスト）がリリースされたというではないか。「ファン失格」と言わ
れても、反論できないくらいの状況下に自分が置かれていることが分かった。
しばらく彼の近況を見た後で、多くのファンの言葉を知ろうと、掲示板のペー
ジを見た。するとそこでは、僕の予想に反した出来事が展開されていた。日本の
あるミュージシャンが引き合いに出され、「パクリ論争」が展開されていたのだ。
「パクリ」を是認する人、それに対しての反論、擁護・・・。どの意見も分かる
すぎるほど分かる。だけど僕にとっては「どうして今さら？？」という感覚だっ
た。
「パクリ論争」は、たまたま自分が関心を持つ人が「真似した」「真似された」
というところから発展したもの。でも世の中、「パクリ」を言い出せばキリがな
くなってしまう。音楽の世界では当然のこと、文学だって、美術だって、それこ
そコンピュータだって。僕は「パクリ」を是認したり擁護したりするつもりはな
いけれど、もしも「パクリ」が悪ならば、日本人はみんな悪になってしまうはず
だ。
高等学校の「新学習指導要領」が発表された。2003年から施行されるこの要領
には、コンピュータを取り入れた「情報」という授業が義務付けられるそうだ。
またひとつ、個性を失くすための要素が文部省によって加えられてしまった。知
らず知らずのうちに、「個性的」という名の囲いの中に押し込まれてしまった。
気が付くと、「個性」という名の「無個性」の世界が作られていた。
先日、夕刊の片隅には「教育とは、教えられたことをすべて忘れ去ったときに
残るもの」という言葉が書かれてあった。
□□ [宮入 恭平 kyohei@ea.mbn.or.jp]
□□ [KYOHEI MIYAIRI WEB PAGE http://plaza26.mbn.or.jp/~kyohei/]
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■ おじさんの日常 深津 勝
「どっちもどっち」
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娘に言われた。
「とーさんって頭がおかしいよ、なんでそーなの」
「・・・・・・・・」
「なんでそんなこと考えるの」
「・・・・・・・・」
うーむ、なんともまずいことに返す言葉がない。なんでかというと、やはり自
分でも、そんなにまともではないことに気がついているからである。しかしであ
る、ここは立場上なにか言いわねばならないのである。「君ねぇー」と娘に向か
って言いかけたら「とーさん、あのねぇ、普通の人はね、娘にむかって君なんて
言わないのね」とすかさず言われた。
何でこんな話しになったかというと、事の始めはバリカンである。僕はいつも
自分で頭を刈る。前も後ろも全部手鏡でやっつける、風呂場ではだかになってや
る。腕は自慢できる。でも、今回はちょっとしたことがあってこころに動揺があ
り、それでもってちょっとミスってしまった。どうしたかというと、バリカンの
替え刃を間違え、頭部の右側面に、一筋、コンバインが通ったような跡をつけて
しまったのである。本来その部分は９ミリなのに３ミリで刈ってしまった。この
６ミリの段差には承服しがたいものがある。
そこで僕は考えた。頭全部３ミリで丸坊主にすると、近所の平林寺の托鉢僧に
なってしまうので、反対側の頭部左側面も左右対象になるように、３ミリのコン
バイン跡をいれてしまおうと。じっさい出来あがってみるとなかなかいい感じだ、
漫画のエイトマンみたいになった。そこで娘にみせたわけである。ま、そのまえ
にカミさんにも見せたわけだが、チラッとみて首を左右に２、３回ふって買い物
に出かけてしまったし、飼い犬の健太君は歯を剥き出してうなっていた。
まったくどうにもしゃれのわからない奴ばかりだ。こうみえても僕は立派な社
会人で、しかも子を持つ父親でもある。エイトマンカットのまんま外に出かける
ようなことをするわけがないではないか。しかし、娘のあの態度は我慢ができん。
そこでうさ晴らしに、娘のある事件をばらすことにする。いろいろあるが、今回
はその中の一つ「その鍋火にかけて事件」をばらす。
中学の林間学校で、お決まりの野外料理カレーをつくることになった。薪が湿
っていてなかなか火がつかない、教頭先生がみかねて娘達の班の焚き火を、大汗
をかいておこしてくれた。そこで教頭先生が娘に「さあ、その鍋を火にかけて」
といったわけである。娘はなんの躊躇もなく鍋の水を焚き火にザザーっと・・・
・・。
この先生はなかなかの人で、娘の純真でつぶらな瞳をみて、すぐいろいろなこ
とを理解し、大笑いして許してくれた。翌週の学校の朝礼でもこの話をして、娘
の純真な心？を話題にしてくれた。ま、親としては程度問題だとも思うが、娘の
バカトンマ頭もなかなかいいとおもったわけである。
うん？ これでは報復にならないな。まあ、いいか。頭おかしいとーさんにバ
カトンマ娘のお話でした。
□□ [深津 勝 bi-n-go@remus.dti.ne.jp]
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■ めたまんの編集メモ
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週刊アスキーの「カオスだもんね！」という連載が単行本になってますが、そ
のサイン会が３月21日、午後２時から秋葉原のラオックスザコンピューター館で
行われるそうです。
連載の記事中、「サイン会をやったらいいぞ」と占い師の先生に言われてまし
たが、ホントにやるんですねぇ。さらに「ライバルが出現する」とも先生に言わ
れてましたが、そのライバルがスタパ齋藤さんというオチ。ええかげんにせんか
い。
ともかく、パソコンライター界の怪人、スタパ齋藤さんに会いたい人は、21日
に行ってみてはどうでしょうか。話題、すり替わってますね。
http://wam.ascii.co.jp/
ASCII24で、「広告対価でニンジンも無料？」なんて見出しを見つけてギョッと
しましたが、ハイパーネットの話でした。ユーザーに広告を見せることでインタ
ーネット接続の料金を無料にするという会社でしたが、97年12月に倒産していま
す。
http://www.ascii.co.jp/ascii24/call.cgi?file=columns/deja_vu/dv990305.html
でも、インターネットは広告で持つ、という読みは正しかったようで。有料メ
ールマガジンの PC WEEK WIREは、３月いっぱいで有料配信を取りやめるようです。
インターネットで読者からお金を直接取るのはなかなか冒険なんでしょうか。
http://www.zdnet.co.jp/
「よみものさーち」というサイトに、メールマガジンの発行者が集まるWebBBS
があるのですが、一人、とんでもない奴が乱入したおかげでアクセス過多に陥っ
て、サーバーが停止状態になりました。今は、サーバーを切り分けて安定して動
いているようです。
http://www6.big.or.jp/~core47/bbs1/bbs.cgi
http://www6.big.or.jp/~core47/bbs3/bbs.cgi
http://www.yomimono.com/
発行前なのに、なぜか記事につっこみが。
なんでソニーが工場を二つも作るかというと、インテルを見習ってパラノイア
になったからなんだそうです。うーむ。
□□ [めたるまん metalman@ninjin.net]
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編集発行人：山崎一幸 発行：にんじんじむしょ
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