■ Mail Magazine Radica 1999年 1月 5日(火) 第246号 □□■
■ Contents
□ RADICA EXPRESS 「最新インターネット情報」
宅配薬物自殺事件のその後
月
□ 日常の、私へのことば
□ おじさんの日常
□ めたまんの編集メモ
朝日新聞がLinuxを取り上げる、ネットの匿名性
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■ RADICA EXPRESS 「最新インターネット情報」
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● 宅配薬物自殺事件のその後
昨年のクリスマスに、インターネットだけでなくマスコミ全体を揺るがせたの
が「宅配薬物自殺事件」。事件の広がりは止まりを知らず、強硬な取材合戦が問
題になったり、インターネット・バッシングまでになったりしたのはご存じの通
り。
いろいろな自殺系のホームページが強引な取材のため、閉鎖を余儀なくされて
いる中、過去に青酸カリ購入したが飲まずに、睡眠薬のために7月に死亡した足
立区の主婦のページ「嬢ちゃんの部屋」を、その夫が更新を続けている。嬢ちゃ
んの部屋から直接リンクしてある「やもめ日記」は、自殺直後の7月末からずっ
と今までの日記が読める。今年に入って、やっとやっと生活が落ち着いたようだ
が、いまだ礼をを失した取材が来るようだ。
今回の事件で自殺系のコミュニティと共に注目されたのは、インターネットが
持つ匿名性。特に朝日新聞などは、この匿名性を問題視してキャンペーンを張っ
た。
一番最初に匿名性が悪いと指摘したのは、朝日新聞が識者の話として載せた、
東大社会科学研究所の西垣通教授のコメントだった。『問題はインターネットの
匿名性が犯罪を容易にしているということで、本来の言論の自由や民主主義の発
展のためにも発信の実名性原則をルール化すべきだ。』 このコメントによって、
マスメディア全体の報道姿勢が決まってしまったようだった。
これに真っ向から抗議したのが 富山大学の小倉利丸氏。氏は「インターネット
における情報の自由と匿名発信は守られねばならない」との声明を出した。『匿
名での情報発信は私達の人権にとって不可欠の権利である。』『監視社会化を深
く危惧する。』と述べ、これがインターネット全体の論調の大きな後ろ盾になっ
た。
今回の事件はインターネットに大きな教訓をもたらした。特にマスコミの報道
は偏っていると、インターネット全体が改めて確認したのではないだろうか。こ
れからは、マスコミ報道を見たときにはインターネットで裏をとる。これが正し
いインターネッターの姿となると思う。
○ asahi.com:宅配薬物自殺事件
http://www.asahi.com/flash/tokuhou/tokuhou981225karib.html
○ インターネットにおける情報の自由と匿名発信は守られねばならない
http://www.jca.ax.apc.org/~toshi/seimei981230.html
○ 嬢ちゃんの部屋
http://www.ozma.net/ymd/akiroom.html
□□ [Hosaka the G33kSt@r hosaka@sco.bekkoame.ne.jp]
● 月
月の画像を探していたら、ここにたどり着きました。鮮明で綺麗な画像で、月
ってこういう星だったんだよねと再認識しました。
月の表面には、隕石の落下後がたくさんあって、クレーターだらけだってこと
はみなさんご存知の通りなのですが、まるで模様のように見えます。クレーター
だけじゃなくて、直線壁といわれる、直線のようなクレーター(?)もあるんで
すよ。
綺麗なモノトーンのグラデーションで、見てるとなんとなく不思議な気分にな
ります。
○ 東田守生天体写真の館
http://www2.odn.ne.jp/~moon/index.html
□□ [渡辺美有 -miu-@geocities.com]
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> ○○ Radica新連載企画「ニセ首相に聞く」への質問を募集致します ○○ <
現在、「ニセ首相官邸ホームページ」にて精力的に活動中のニセ首相が、
当Radica誌面上で読者からの質問にお答えします。
「政策問題のみに限らず、エネルギー保存則の解説から痛くない鼻毛の抜き方
まで、広く国民の皆様の声を伺って参りたいと存じます。(ニセ首相談)」
http://www.t3.rim.or.jp/~s-muraka/kantei/pkantei.html
質問はEメールにて s-muraka@t3.rim.or.jp まで。匿名も可。
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■ 日常の、私へのことば 宮入 恭平
"3500円のライブよりも、1000円のライブの方が良い"
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インターネットを使った犯罪が世間を騒がせた。いや、果たしてそれを犯罪と
呼べるのか、僕には疑問に思えるのだけれど。テレビや新聞の報道を見ながら、
日本のインターネットに対する認識の低さを改めて考えさせられた。たまたまイ
ンターネットを介してのことであり、「それ」に関する情報はずっと以前から存
在していたのに。恐らく多くの人は、一度くらいは関心を持ったことがあるだろ
う。そして僕自身も、「それ」に関する本を何度も目にしたことがある。そのよ
うな情報は、今に始まったものではなく、ましてやインターネットを使おうと使
わなかろうと、関係のないことだ。
つい最近の新聞のコラムにも、インターネットに関する話題が取り上げられて
いた。インターネットやパソコンの普及により、活字離れが急増しているという
のだ。画像ばかりを見るようになり、文字を読むことをしなくなっていると。こ
れもまた単眼的な見方だ。もちろんコンピュータには様々な利用法があるから、
画像を見る人がいるのも当然だろう。だからと言って、それが直接の原因で活字
離れが急増しているという見解は、どう考えても納得いかない。僕は毎日のよう
に、コンピュータを使って文章を書いている。活字から逃れることができない。
インターネットを使ってコミュニケーションをとっている僕としては、「活字離
れの原因がインターネットやパソコンにある」という意見には反論したくなる。
これが日本だけの状況なのかは分からないが、いずれにしても新しいものに対
して消極的な捉え方をするのは、昔も今も変わらないことだろう。テレビが普及
した頃は、インターネットに対する以上に、テレビは脅威の存在だったはずだ。
僕が小さい頃は、ドリフターズが全盛期の頃だった。そして彼らの番組は高視聴
率を維持していた。が、彼らのネタに対して「教育上よろしくない」というクレ
ームが付き、彼らの番組は世の父兄たちのワースト番組になってしまった。幸か
不幸か、我が家では母親が一緒に番組を見て笑っていたので、僕はスイッチを切
られるという「悲劇」に見舞われずにすんだのだが。
結局のところ、日本は「何をしているか」ではなく「何をしたか」が問われる。
結果で全てが判断されてしまう。名も知れぬ花は、雑草と同じ扱いを受けてしま
うのだ。ビートたけしが「お笑い」としての扱いしか受けられず、映画を撮った
ところで「お笑い芸人のくせに」と言われてしまう。ところが「○○賞」を受賞
した途端に、世間の見方は変わってくる。そして「お笑い芸人・ビートたけし」
から「世界の北野武監督」になってしまう。
僕がホームグラウンドとしてプレイしているライブハウスがある。そこには
「メジャー」と呼ばれるミュージシャンも出演している。この間、あるメジャー
ミュージシャンを観たというお客さんが、僕のライブにも来てくれた。「つまら
ない3500円のライブよりも、あなたの1000円のライブの方が良い」と言ってくれ
た。僕はそれを聴いて、とても嬉しく思った。でもやはり、僕も「同じ土俵」で
プレイしたいという気持ちはあるのだが。でも、高いお金を払ってつまらないラ
イブを観るよりは、リーズナブルな僕のステージに満足してもらうのも悪くない
のかな?と、少し複雑な心境の今日この頃だ。
□□ [宮入 恭平 kyohei@ea.mbn.or.jp]
□□ [KYOHEI MIYAIRI WEB PAGE http://plaza26.mbn.or.jp/~kyohei/]
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■ おじさんの日常 深津 勝
「親父」
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鎌倉の八幡宮前の道を海岸に向けて歩く、参拝客の流れとはぎゃくである。
12、3分で海岸にでる。潮風がほてった肌に気持ちよく感じられる。最後に親
父とこの海岸を歩いたのは20年もまえになる。ニの鳥居を海に向かって左に入っ
たところに実家があった。
「まずな、シャボンをよく泡だてるんだ。それから首のまわり、耳の下、そう
やってだんだん下へ向かって洗うんだ」
いまでも初めて親父と風呂に入ったことを覚えている。服の脱ぎ方、タオルの
使い方、湯船の浸かり方まで教えてくれた。緊張して一生懸命覚えた。親父と風
呂に入ったのはその1回のみ、それでもいまだにその通りの入浴をしている
親父がこの地に居を構えた頃には、私は家を出て好き勝手に暮らしていた。あ
る日、親父に呼ばれ家に帰った。当日は一緒に住んでいる姉とおふくろ、4人で
夕食をすませ床につく。翌朝、親父に海に誘われた。
むずかしくて、悲しいはなしだった。漠然と感じていたこと、その他、いまふ
うにいうと少しキツイ話だった。辛そうに話を続けようとする親父に私は「もう
いいよ、そんな話、聞きたくないよ」と声を荒げた。
家に戻る、おふくろが悲しい顔をして門の前で待っていた。無言で荷物をまと
める。おふくろの涙は絶対見たくなかった。姉におふくろのことを頼み、横須賀
線にのる。親父はだけは、どうしても好きになれないと思った。
朝日は海上にオレンジ色の道をつくり、輝いている。20年ぶりにこの海岸にた
つ。親父は昨年他界した。親父に教えてもらったことがいまだに身についている。
箸の持ち方、革靴の手入れの仕方、辞書の引き方、生活のすべてにどうしても親
父が生きている。
□□ [深津 勝 bi-n-go@remus.dti.ne.jp]
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■ めたまんの編集メモ
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通常号、第一号です。本年もよろしくお願いします。
あの、コンピューター音痴の朝日新聞が、Linuxを取り上げたと一部で話題にな
っています。
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
それにしても、26日の天声人語は大笑いでしたね。ゲーム専用機とパソコンと
インターネットの区別が付かない文章、久々に笑わせていただきました。
インターネットの「匿名性」が話題になっていますが、私の周囲に言わせると、
「どこが匿名じゃ」ということになります。匿名のようでいて、実は匿名でなん
て無いのです。一般のネットワーク参加者に対して、ハンドル名(ペンネーム)
を一定せず、匿名で振る舞うこともできますが、それでは信用がつきませんから
あんまり信用してもらえません。そもそも、「ああ、これはあいつが書いてるな」
とすぐばれてしまうのが関の山。
ネットワークコミュニティにはオフラインミーティングと呼ばれる、現実に会
ってお話をすることが必ずと言っていいほど行われますが、そこでは勤務先の名
刺を交換するのが常で、そこで名刺交換を断るようではそのあとのコミュニケー
ションはうまくいかないでしょう。
さらに、犯罪を隠蔽するほどの匿名性を確保し続けるのはさらに大変です。
匿名風で振る舞いたければ匿名風で振る舞ってもかまいませんが、ネットの楽
しさのほとんどをそこで捨ててしまっているということも認識してください。
今日のRADICAは短めですが、都合によりこんなところで。
□□ [めたるまん metalman@ninjin.net]
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編集発行人:山崎一幸 発行:にんじんじむしょ
radica@ninjin.net http://www.ninjin.net/radica/
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