別冊 Mail Magazine adica 1999年2月6日(土)
RADICA EXPRESS SELECTION
問われる言論の自由、米国の場合。
反中絶派のWebに法の裁き。

 「ニュールンベルクファイル」という反中絶をとなえるWebがある。このWebは米ジョージア州の反中絶活動家ニール=ホースレー氏らのグループによるものだ。 ニュールンベルクファイルでは、200人にも上る米国で妊娠中絶を行っている医師を赤ちゃん殺しとして指名手配。 顔写真・自宅の住所・電話番号・医師免許番号を含めた個人情報を公開している。
 名簿の公開だけなら何も怖くはないのだが、この名簿は反中絶急進武闘派に利用されてしまった。 昨年の10月、名簿に載っている医師が狙撃され射殺。 早速、ニュールンベルクファイルの医師の名前に「死亡」の意味を示す横線が入った。97年にWebを公開して以来、3人の医師が殺害されているという。
 2日連邦陪審は、このニュールンベルクファイルが妊娠中絶医を脅迫したとして、1億700万ドル(約120億円)の賠償金の支払いとWebを閉じるよう命じる評決をくだした。 もちろん、ニュールンベルクファイルはこの評決を不服とし控訴。 4日には、欧米やアジア、そして日本の妊娠中絶のための病院を24時間インターネット中継すると発表している。
 さて、この事件で何が問題になっているかというと、米国がもっとも大切している自由の一つ“言論の自由”なのだ。 もちろん妊娠中絶や急進的なキリスト教原理主義の問題も重要なのだが、それよりもなによりも言論の自由を唱えてきた人々の挫折の方が注目されているのだ。 この裁判は最高裁判所まで控訴されるのは確実。 場合によっては、合衆国憲法の修正まであり得るかもしれない。 言論の自由、特にインターネットの言論の自由を語るときには、この事件がのど奥に刺さったトゲのようにやっかいなものになるに違いない。
 自由を含めた基本的な人権は、悪意ある人も含めた全ての人に平等に与えていいものなのか。 基本的な人権を制限しなくてはいけないのならば、全ての人に等しく制限をかけるべきなのだろうか。

○ ZDNNet:中絶反対者が公開したリストは「脅迫」か「言論の自由」か
http://www.zdnet.co.jp/news/9902/04/appeal.html

○ ZDNNet:中絶反対派,次は病院をWebライブ中継?
http://www.zdnet.co.jp/news/9902/05/abortion.html

○ THE NUREMBERG FILES(閉鎖中)
http://www.christiangallery.com/atrocity/

○ キリスト教原理主義のアメリカ
http://www.iijnet.or.jp/asia/cf-j.htm

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