別冊 Mail Magazine adica 1999年1月21日(木)
RADICA EXPRESS SELECTION
米Apple社の新技術「FireWire」、普及を遅らせる?

 Appleが提唱し、特許も持っている新しいインターフェースが「FireWire」。 ソニーのデジタルビデオにも、「iLink」という名前で実装されている。 正式名称「IEEE1394」は、高速かつプラグ・アンド・プレイでデータ転送を可能にし、しかも家電製品とパソコンを接続が出来る技術として注目されている。
 先日、FireWireをMacintoshでは初めて搭載したPowerMacintoshG3 B&W(Yosemite)が発売された。
 Macworld EXPO SF 99でも、多数のFireWire機器が発表され、これからIEEE1394シーンがますます盛り上がると思われていた。
 ところがApple自らが、FireWireの普及に冷や水をかけるようなことをし始めた。 1ポートのFireWireあたり、約1ドルのライセンス料を要求しようと、業界に働きかけ始めたというのだ。
 すでにIEEE1394のライセンス供与を受けている、ソニー、松下、米Philips、米Texas Instrumentsなどには、従来通りのワンタイムの定額料金によるライセンス提供のままで、 契約変更は無いと考えられているが、今後、FireWireを使って、機器を新規に開発しようとする企業にとっては非常にめんどうなことになった。 実際、周辺機器の大手のアイ・オー・データ機器やメルコは、FireWire機器の発売は当面せずに様子を見るという。
 なぜ、この期に及んでこんなことをアップルがするのか疑問の声も多い。
 CNETは、次のように書いている。Appleは、Wintel陣営の企業を一時的に混乱させ、その隙をつき市場を押さえたいと考えている。 富士通などの企業からFireWire技術と、新たな技術とを交換したいと思っているのではないか。
 もう一つ、AppleとMicrosoftとの申し合わせもあるのではないか、とも一部でささやかれている。 Windows98の後を継ぐWindows 2000だが、基本アーキテクチャーはWindowsNTだ。WindowsNTといえば、ホットプラグが非常に苦手であることは有名な話。 FireWireをフルサポートするには、そのホットプラグに完全対応しなければならない。 ホットプラグは、NT4.0で最低限のサポートしかなされていない機能で、Windows 2000ではまったくの新規開発となるために、Windows 2000発売当初はバグでぼろぼろのはず。 Microsoftとしては、ノートブックマシンで動かすために必須の、PCカードやUSB周りの限定したホットプラグ機能に押さえたいはず。開発には時間がかかりすぎるのだ。
 ただでさえ、開発の遅れが目立ちはじめているWindows 2000の開発陣に、このめんどうな作業に関わらせるのはリスクが高すぎる。 そこで、Appleへ出資しているMicrosoftが、FireWire普及のスローペース化をAppleに依頼したのではないか。 Appleにしてみても、とりあえず、ソニーのハンディカムとMacintoshがつながればそれで良いと思ってはいまいか。
 このストーリーは全くのフィクションだが、そんな話はありそうだ。

○ CNET Briefs Tech News:アップル、FireWireを課金ライセンス制に
http://cnet.sphere.ne.jp/News/1999/Item/990116-1.html?mn

○ Biztech News biztech:IEEE1394周辺機器まもなく登場、大手メーカーには様子見の動きも
http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/show/leaf?CID=onair/biztech
/pc/48839


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